八ヶ岳 県界尾根経由 赤岳 (2899m) 2011年9月6日

所要時間
 5:56 車道終点−−6:23 登山口−−6:57 小天狗−−7:37 大天狗−−8:34 赤岳 9:35−−10:12 大天狗−−10:39 小天狗−−10:58 登山口−−11:24 車道終点

概要
 1日しか時間がとれず毎度の県界尾根で赤岳へ。台風に伴う大雨の影響で普段水が流れていない沢もゴウゴウと音を立てて流れていた。登山道の水は引いていたが大量の水が流れた跡が残っていた。しかし基本的に登山道が崩壊した場所は無く、倒木が1,2本あっただけだった。天候は良好で秋の空の色だったが、背の高い雲海で北アは槍穂のみ、南アと中アは雲が絡んですっきりとは見えなかった。そろそろ紅葉の気配が感じられ、唐松の緑はくすみ、森林限界付近のダケカンバは葉が枯れたものも見られた。なお、この翌日、北ア穂高山荘で初氷を観測。最低気温は-5℃だったとのこと。


 今週末は台風12号の接近で悪天続き、というか、週末に入る前から不安定な天気が続いていて紀伊半島では合計2000mmを越える超大雨(奈良県上北山村)。関東でも西部の山地では大雨、平野部は不安定な天気で夕立のような雨が繰り返された。月曜も同じような天気で山に行ける状態ではなく、天候が回復する火曜日に日帰りで出かけることにした。まだ夏だし翌日は仕事だしで、こんな時はトレーニングがてらに赤岳が手ごろだ。

 月曜夕方に出発。平日なので中央道定額区間は割引なし、八王子より先では通勤割引で半額だが、なんと笹子トンネル内で車両火災があって通行止めで大月で下ろされてしまう。通勤割引は同時間帯は1回しか使えず、勝沼で再び中央道に乗ったが通勤割引対象外だ。ユーザに不便をかけた上にコストアップを強いるとは・・・・。事故で通行止め区間が発生した場合、一度降りて再度高速に乗った場合に割引を継続するようなシステム改修を願いたい。

車道終点手前の駐車スペース 車道終点

 須玉ICで降りて北上、平日なので車道終点に車は無い。ここは雲の中でガスっているが明朝どうなっているやら。予報では回復傾向のはずだが山の上の天気予報は不明だ。明朝、起きて外を見るとガスったままで本当に天候が回復するのか心配な状況だが、それ以前に片頭痛の発作が出てしまって強烈な頭痛が。このまま我慢して歩くと途中で動けない状況になりかねず、鎮痛薬を飲んでしばし横になった。1時間半ほど寝たら薬が効いたようで頭痛が軽くなり、遅くなったが出発だ。まだガスの中で周囲の木々の葉からは水滴が落ちていた。

橋手前の流木 いつもの涸れ沢は水が豊富

 林道に入ると道路上を水が流れた形跡があり、いつもの涸れ沢を渡る橋の下はゴウゴウと水の流れが。今まで10回近くここを通ったと思うが水が流れていたことは1度もない。よほどの雨量だったのだろう。橋の手前には細い流木の枝が横たわっており、どうやら波打ち際がここまで来たらしい。最も水量が多かった時は橋が水没していたようだ。その先の林道上には水が流れており、ここも通常では水が無い場所だ。

刈り払われた廃林道 刈り払い終点
刈り払い終点から先の廃林道 廃林道で一番笹がうるさい区間

 その先で林道の両側から笹がはみ出す個所が始まるが、なんと笹が刈り払われていた。おお、これなら濡れなくて済むぞ。この林道(廃林道)は両側から笹が茂って笹が濡れているときにはゴアが必要なくらいなのだが、それが不要になるのは大助かりだ。ところがある堰堤を越えた先で刈り払いが終了し、両側から盛大に笹がはみ出した状態に戻ってしまう。どうも登山道の整備が目的ではなく何らかの作業で車でここまで入るため刈り払ったらしい。出発時にロングスパッツを装着しているので濡れた笹の道に突入して問題ない状態だが、あまり気持ちのいいものではない。林道は刈り払い終点より先は相当荒れていてジムニーでも走行不能だろう。ただし、刈り払い終点までは今の時点では車で問題なく入れる。まあ、これで節約できるのは5分くらいだろうけど。

廃林道から登山道に入る地点 霧に向こうに赤岳山頂
笹が被る登山道を登り始める 谷筋から右の尾根に向かう

 濡れた笹の被る区間を抜けて廃林道を離れて尾根に向かう地点(登山口?)を通過、ここまで来ると頭上のガスが薄くなって青空が見え、薄いガスの向こうに赤岳山頂が見えていた。いつもはここを通過するのは暗い時間で山は見えないが、ここからでも見えたんだな。この先もしばらくは笹の洗礼を受け続けるが林道区間よりはマシになる。ここも刈り払えばいい道になるのだが。いつの日か私がやろうかなぁ。でもこの規模ではエンジン付き草刈機がないと難しいだろう。

笹が薄くなる 開けた地点から見た赤岳
赤岳山頂付近(クリックで拡大)

 以降は唐松植林帯を登っていき、1か所だけ視界が開けた場所で赤岳を望むことができる。稜線上には雲は無くすっきりと晴れている。さあ、山頂到着までこの状態が持ってくれるかな。登山道は谷状に抉れた場所も多いが既に水は引いて泥濘もなく、いつもの状態の登山道であった。火山なので水はけがいいらしい。標高が上がってシラビソ樹林になると足に触れる笹も減って快適になる。久しぶりの好天の登山で樹林の中でも気持ちがいい。

小天狗 小天狗から見た富士山
小天狗から見た南アルプス
倒木あり 甲府盆地方面
稜線がすっきり見えている
赤岳展望荘 青空

 小天狗に出ると南側が開け富士山方向が見通せるが、平野部はまだ雲が多く富士山も雲がかかっていた。ただし雲海の低い雲で上空は真っ青な空、夏空ではなく秋を感じる色だった。小天狗の先では相変わらず低い笹がはみ出した区間があるが、それを抜ければ笹とはおさらばだ。シラビソの縞枯れ地帯では青空がきれいだ。

大天狗 大天狗より先で傾斜がきつくなる
樹林の隙間から見た赤岳〜横岳

 大天狗を通過、少しだけ樹林に隙間があって山頂方面が見えた。傾斜がきつくなってダケカンバが目立ち始め、ジグザグに登るとついにハイマツが登場し、最初の鎖場登場。ここで日光方面の視界が開けるが、今日は水平線の雲が多くて栃木、群馬の山は見ることはできなかった。

最初の鎖場。最上部に梯子あり 最初の鎖場から見た奥秩父。雲が多い
鎖場が終わって右にトラバース 2つ目の鎖場(涸れ沢)
またもや右にトラバース
3つ目の鎖場
3つ目の鎖場上部の梯子 またまた右にトラバース。ダケカンバの葉が枯れている
赤岳展望荘が低くなってきた この尾根に乗れば山頂まで一直線
尾根に取り付く直下の鎖場 尾根に乗っても鎖がある

 鎖を使わず自然地形と木を利用して壁をクリア、少し登って右にトラバースして涸れ谷で第2の鎖場。今日は僅かに水が流れているが普段は乾いているので岩に苔など付いていないからほとんど滑らない。ここも鎖を利用しないで岩とハイマツの縁をよじ登る。小尾根に乗ってトラバースし、赤岳展望荘への分岐を見送って鎖(ここも鎖は使わず)と梯子を登り、再びトラバースして最後の尾根に乗るところで4つ目の鎖場。ここも鎖を使わずクリア。

赤岳頂上山荘 頂上山荘から見た赤岳山頂

 小尾根を登り切れば赤岳頂上山荘。今日は火曜日で人は少なく山頂には数人しかいないようだ。風は南西の風が吹いているがさほど強くない。しかし思ったよりも冷たいく体感温度がぐっと下がる。

赤岳山頂 赤岳から見た頂上山荘
赤岳から見た阿弥陀岳 赤岳から見た富士山
赤岳から見た乗鞍岳 赤岳から見た木曾御嶽
赤岳から見た南アルプスと権現岳
赤岳から見た北アルプス。これ以外は雲の中

 山頂にいたのは2人だけと、今までで一番少なかった。火曜日だからなぁ。しかも昨日はあの天気だから入山者は少なかっただろうし、今日入山した人はまだこの時間では山頂に届かないだろう。下界は雲が多くほとんどの山は雲の下で、北アで見えているのは槍穂と乗鞍岳のてっぺん付近のみ。西側は木曾御嶽の上部と中アは割と雲の上に出ているのだが稜線に雲が絡んで山が隠れてしまっている。南アも同じような状況だ。上空は快晴なんだけどなぁ。硫黄岳方面は稜線に雲が流れて北側が見えなかった。下界の雲が切れないかと1時間ほど待ったが状況は変わらず。明日はもっといい状態になるだろうな。この間に山頂に来たのは6人ほどだった。

頂上山荘から見た横岳、硫黄岳 県界尾根を下り始める
最後(登りでは最初)の鎖場+梯子 大天狗。ガスがかかっている
小天狗もガスの中 廃林道に出た
涸れ沢の水量は変わりなし 車道終点

 下山も淡々と。登ってくるときの最初の鎖場手前で最初の登山者と遭遇、この2人は出発して林道を歩いているときに追い越した堺ナンバーの車の主であった。他に登ってきたのは単独男性2人だけ。やっぱ平日だ。小天狗までガスが続いたが、今の山頂はまだ晴れかな。帰りがけの林道途中の涸れ沢もまだ水が豊富で、少しだけかいた汗を濡れタオルで拭ったが、意外に水は冷たかった。

 車道に出ると車は増えていなかった。堺ナンバーの2人は今日中に下山するのか、それとも上で宿泊か。今日の片頭痛は薬のおかげで軽くはなったがずっと軽度の頭痛が続き、このまま車を運転すると車酔いになりそうで、鎮痛薬をもう1錠。涼しいので車のクーラーを付けることなく韮崎まで走ることができた。

 

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